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本:『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』

2019-05-02
Book

IUT理論は、複数の数学の舞台を考えることによって、それまでの数学にはなかった、つまりそれまでの数学の常識を超えた、新しい柔軟性を実現しようとしていたのです。

『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』を読みました。

本書は、望月新一教授が2012年に発表した「宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)」を、一般向けに解説した書籍です。IUT理論といえば、ABC予想を解決したという主張で大きく話題になったものの、7年経った現在も成否について決着がついていないほど難解な代物で、この本を読んだだけで全貌が理解できるわけではもちろんないのですが、「どういうことをやろうとしているのか」について雰囲気やさわりだけでも理解したつもりになれる、楽しい本でした。著者の加藤文元先生は、本書で語られるようにIUT理論の構想時から望月教授と親交があり、理論を理解している数少ない数学者の一人で、そのような人に易しく解説してもらえるというのはとても贅沢な体験だと感じます。

数学というものは論理の塊なので、ある論文は正しいか正しくないかのどちらかに直ちに決まるような気がしていたのですが、IUT理論に関する議論が未だに続いているように、その中間が存在するというのはなんだか不思議な感じがします。IUT理論は「足し算と掛け算の関係を解きほぐす」という、数学の基礎に挑戦するスケールの大きな理論で、かつ独自性が高いため数学者に対しても「学習コスト」が高く、地道に理解者・協力者を増やしていく必要があるようです。このような一般書を出すというのもその作戦の一環となるのかもしれませんね。


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